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2004.10
kinkyu

キャストパズルの「紐通し穴」の話
akioakio
c2004 Shikake-ya

キャストパズルの多くは「紐通し穴」がついています。19世紀末から20世紀初頭の古典(S&S、ABC、KEY他)に特徴的なこの穴は、どんないきさつで付けられるようになったのでしょうか?想像を交えつつ以下に考えてみます。
 考えるキーワードは、「根付」と「懐中時計」。

 携帯ストラップの源流とも言われる根付。起源はかなり古いですが、江戸期には造形的な趣向が大いに流行し、江戸後期の最盛期には江戸だけで八百人の根付師がいたと伝えられます。19世紀後半、幕末から明治にかけて、浮世絵とともに大量に西洋へ輸出されました。大英博物館には沢山の根付コレクションがあることをご存じの方も多いと思います。
 この根付の特徴の一つが、「紐通し穴」です(但し「差し根付」は除く)。

 もうひとつのキーワード、「懐中時計」。その歴史については詳しいサイトがいくつもありますので、ここでは映画「レッド・サン」の話をします。
舞台設定は1870年のアメリカ。アラン・ドロン演じる敵役のゴーシュは懐中時計をくるくると振り回すのが癖。何度も出てくるこのシーンから、懐中時計がステイタス・シンボルとして普及し始めていたことが窺えます。
 懐中時計に必須な要素もまた「紐通し穴」(輪)ですね。

 他にもアクセサリーの歴史など、古典のキャストパズルと「紐通し穴」の関係を想像させるものはありますが、語ればきりがありません。根付・懐中時計・古典キャストパズルの原典(ハナヤマ版よりもずいぶん小さいです)、それらの寸法・重量の比較も大いに興味のあるところです。ぶら下げて持ち歩き、時にはひとに見せびらかしてみる。そんな行為はとても普遍的なのですね。

 現代の創作によるキャストパズルのいくつかにも、そんな「紐通し穴」のポリシーは引き継がれています。特にマリンシリーズは、ぶら下げたときの形がスタートの位置関係を示すようにデザインしました。解くのに飽きたら、こんどはアクセサリーとして工夫してみてください。バッグの留め金など、他の意外な使い道が見つかるかもしれません。



hanayama
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